ss1651 我ら新型ウイルス

「新型パロマウイルス、新型リンナイウイルスが猛威を振るっている」
「なぜかみんな言わないが、人間の活動が抑えられ、大気汚染が無くなり、地球温暖化も止まった」
「そうだよ、これからは巨大台風も発生しない可能性があるのに、なぜそっち方面の話題にならないのだろうか?」
「夏の北極グリーンランドの融けない氷地域の復活も確認できたのに…」
「北上する農作物も、バッタの群生による被害もなくなってきたのになぜ話題にしないんだ?」
「海水温が下がり、海産物が増えてきた。マグロ漁規制の見直し、サンマも大量になってきた」
「良い事づくめじゃないか、人類に、もはや選択肢は無い。元のグローバルな世界に戻る事は出来ない。新型ウイルスと共存していくしかない。」
「むりやり元に戻すには新型ウイルスを地球上の全ての人間に取り込ませ、新型ウイルスに感染する体質の人間を淘汰するしかない。」
「現実的ではないが、それしかないよな、肉の値を下げるワクチン摂取をわざとしない人工淘汰、豚のトンコレラの皆殺処分的なやりかただ…。人道的に有り得ない選択だ…。RNA遺伝子のウイルスに効くワクチンは実のところ気休め程度の物しかない。特効薬も期待を示すような報道もあるが、両方とも万人に効くものはこれまでもこれからも、実際には無い。」
「だな、それにDNA遺伝子の細菌やウイルスは変化が遅いが、RNA遺伝子のウイルスはすぐに変化する。」
「ウイルスは生物ではなく、人間を含む全ての生物の遺伝子部品の供給元であって、そもそも共存するべきものだ。」
「ああ、毒を持つ貝が現れたのも、人間が二足歩行になったのもウイルスの感染によるものだった」
「獲得形質、獲得能力による進化の全てにウイルス感染が関わっている」
「ウイルスは遺伝子の注射器であって、生物の進化にかかせないものだ、自然淘汰と偶然だけでは獲得出来ないものを与えてくれる」
「しかも短期間でやってくれる。突然変異というやつだな」
「聖書にも似た話があるよ、アダムの最初の妻リリスが蛇に化けて人類の祖に知恵というものを授けたってやつ」
「そう、突如人類は知恵という能力を得て、神から自立した。リリスの二番目の夫で、最初の大天使長ルシエルもそれを歓迎した」
「で…」
「そういう事かもしれないな、能力という羽を六枚しか持たない前大天使長ルシエルが百八枚も持つ神に勝てる訳が無く、左遷され、左遷先から人間をはじめ地球上の生物を妻のリリスや娘のリリムを通じて進化操作してきたのは、今度こそ神に勝ってやるという事か…」
「で…」
「近々我々は神の体に放たれ感染させられるという事かもな、大気汚染や温暖化、巨大台風の回避が話題にならない最大の理由だ。これから神の体を蝕みにいくのにそんな狭いエデンの朗報はいらない」
「神を倒すのが、地球というエデンの住民の使命という事だからな、様々な能力を与えてくれたリリスとルシエルのためにも」
「ルシエルの双子の弟の現大天使長ミカエルを、神の手から解放するという事が最大最終目的だ」

「お… 新型ウイルスによる進化か? なんか宇宙服のいらない生身の体で宇宙(神の体)にいけそうな気がする」
「おまえもか、はじまったな、これから我々はルシエルの最終兵器になる」
「へいきか?」
「へいきだよ」



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