「生き物って物だよな」
「もちろん。」
「今の体は、生まれた時の物は何一つ持ってないんだよな」
「ええ、脳も骨も皮もみんな今まで食べてきた物に取って替わられ、これからも毎日毎日取って替わられ、死ぬ時も今と全部別の物に取って替わられてるはずです。」
「なんか生き物って、無駄な事やってないか? 同じ物を入れ替えてるってなんとも無駄な行為だよ、成長の時新たにプラスするだけならわかるけどさ、さうさね、オートファジーで老廃物の再利用とかしようよ、ほんと無駄なエネルギーを使っていると思うよ」
「そうですね、で、出来ました。」
「え、もうそういう技術あるのね、う〜んと、なになになんだって、細胞単位で老廃物の完全な再利用が可能になったのか、もはや棄てる物がないのか!! 毎日排便で苦しまなくていいのか!!」
「ええ、水分も再利用を徹底させたので、汗もオシッコも出ません」
「酸素も再利用か、恐れ入った。って事は今計画している火星移住、かんちんじゃん」
「ええ、かんちんです。」
「俺、火星に行ってくるよ、俺の細胞をそれに替えてくれ」
「替えてあげましょう。行ってらっしゃい。で、この細胞に替えたら絶対、水と食べ物は控えてくださいね」
「普通に飲食したらどうなるん?」
「捨てるものがなく、ひたすら巨大になっていきます。ガリバーみたいに」
「なるほど…」