「なんか、このゲームに出てくるキャラ、みんなデブなんですけど?」
「糖尿病治療のゲームだからよ」
「僕ら病院患者にやらせると思ったら、そういう事か」
「最後には戦いに勝って、スマートな体を手に入れるのよ」
「…」
「食事制限アイテムをゲットしてだんだん痩せて行くのよ」
「…」
「運動は絶対にしなきゃだめよ、でも、お金持ちなら、ランゲルハンス島の投入移植も視野に入れて」
「…」
「実際の入院メニューとリンクしてんのよ、最終手段として、お金をもっと積んで膵臓移植もあるわよ、どう?」
「…」
「とりあえず、iPS細胞が実用化してきたから、ランゲルハンス島の大量投入でもしてみない?」
「…、女医さん、商売上手ですな」
「えへへ、楽しいでしょ?このランゲルハンス島戦記っていうゲーム」
「楽しいのは女医さんだけですよ、でも言っときますけど、僕、はんぱじゃない金持ちですよ、汎用性の安い膵臓じゃなくって、僕自身のちゃんとしたiPS細胞から作った最高の膵臓をお願いするよ」
「まいどあり」
「やったー!! 健康な膵臓になってスマートな体になったぞ」
「…」
「ゲームの中のアバターの僕はね」
「こんなはずじゃあないのよ、医者としてのプライドが許さないわ」
「まあまあ、僕は体形は変わってないけど、健康になったよ」
「いえ、ゲームはまだ続きます。」
「あ、はいはい、女医さん、スポーツ用品企業とも契約してんのね」
「健康食品企業ともよ、みんなあたしに気に入られようと血み泥になって戦ってたわ」
「バトルが無かったと思ってたけど、やっぱ戦記だったんだねぇ」