ss1606 我思わされて我在り
「性格は死ななきゃ治らない、バカは死んでも治らない」
「死ななくとも治る時代が、殺して治す時代が来たんじゃない?」
「そうね、昔の人は良く言ったもので、ばっちり合っているじゃない」
「このサヴァンヘッドギアのON・OFF機能で性格がガラッと変わるけど、別人と言っても語弊がないくらいに変わるわよね、特にOFFスイッチで左右の脳の片方をOFFにしたときは驚いたわ、そうやって脳の機能を疑似的に殺すことによって性格は変えられるんだわね」
「ええ、イメージ脳の右脳をOFFにしたら左脳が肥大化して冷静な数学者になっちゃったし、逆に左脳をOFFにしたら右脳が肥大化してぶっとんだ性格になって芸術家になっちゃったわよね、もちろん生活に支障がない程度に言語中枢とか空間認識中枢とか残して両方のパターンを試してみたけどね、あたしたちは非行少年カウンセラーで、天才数学者や大芸術家をサヴァン化して作るのが目的じゃないからね」
「しかしほんと驚くわよね、話し方から癖まで、色の好みから異性の好みまでぜんぜん変わっちゃうのね」
「人間の脳は過剰機能状態だから、多少機能OFFしても大丈夫だし、OFFにすれば他の機能が自然にカバーして肥大化して別人に変れるんだわね」
「緻密に操作できるようになりそうね、この技術は」
「独裁者がこれを利用したら大変ね」
「そんなことより、こんなにコロコロ人間の性格を、心を変えられるなんて…」
「やっぱり人間には魂とか、前世からの崇高な意識とかって無いってことなのかしらん?自我?ちゃんちゃらおかしいわね」
「我思わされて我在り。ね。」
「デカプリコだったっけ?」
「バカは…」