「本はほんとに売れない時代になったなあ」
「そうですね編集長、うちの週刊ゲノムも発行部数が少なくなって、廃刊寸前です」
「週刊ゲノム、一時期は子供にうけて毎週買わない子のほうが珍しいくらい売れてたのになぁ」
「特に動物のゲノムを載せた時はみんなリボンに書き写して実物を精製して遊んでくれたのにねぇ」
「そうだったよな、キリンやライオンやゾウに、それから時代を超えてアノマロカリスや恐竜のゲノムだって、子供なのになんなくリボンに書き写して実物を精製して遊んでくれた」
「あれが失敗でしたね」
「ああそうだ、あれだ、チンパンジーのゲノムの掲載の時、ほんの何文字か間違えて掲載してしまって…」
「怪物が精製されてしまいましたよね、子供たち大パニックでしたよ」
「醜い裸のサルになっちゃって… 動物とは思えないほど不気味な生き物ができちゃってな」
「あの時編集長が責任をとっていろいろ編集したけど、余計おかしくなっちゃって、直立して歩いちゃうは、頭は膨れ上がるわでもっともっと不気味な生き物になっちゃいましたよね」
「うわぁ言わないでくれぇ」
「やっぱ廃刊ですね」
「廃刊って、生成物からすると絶滅を意味するんだけれど」
「別にいいじゃん」
「そうだな、子供たちのおもちゃで、結局大人になれば忘れ去られて、いつの間にか捨てられているような存在だからな」
「子供たちが大人になればもっと良いゲノム編集をしてくれますよ」
「うぅ…」
「読者投稿のゲノムにも良いのがあったじゃないですか編集長の失態をフォローしてくれたやつ」
「ああそうだったな、たしか頭が三つあって、手が千本もあるのを作ってくれた」
「名前はたしか千手観音でしたね、凄まじく綺麗で神々しくてかっこよかったですよね」
「うぅ… ちくしょう」