ss1583 ストレス
「現代社会はストレス社会だよなぁ」
「そうね、良い事だわ」
「え?」
「ストレスが有るからこそ、人間はどうにかしようとして、能力を向上させる事ができるじゃない」
「ま、まあ確かにそうだな、なんの刺激も無い仕事や私生活はつまんないしな、次々来るストレスを克服して生きて行くのが生き生きとして生きて行ける秘訣でもある。でも、ストレスの内容によっては耐えられないものだってあるよ」
「そうね、人間は他の生きものと違い、ストレスによる自殺も選択できるからやっかいだわ」
「だろ、個人でコントロールして解決できるストレスには個人差も限界差もある」
「そうね、でもその複雑な個人差をも克服した、ストレスコントロール技術が確立されたのよ」
「え?」
「同じ年齢なのに物凄く若く見える人と、逆に物凄く老けて見える人が居るでしょ?」
「ああ、遺伝子の差かな? いやいや、ストレスコントロールが旨い人と下手な人の差かな?」
「当たりよ、物凄く若く見える人は細胞のリフレッシュ、初期化が旨く行っているのよ」
「おいおい、初期化までは行き過ぎだろ」
「いえいえ、細胞レベルでは初期化が普通に行われているのよ」
「あ、STAP細胞か」
「そうよ、高度に進化した人間の様な生物でも、細胞レベルでは初期化は普通に行われているのよ」
「二回言ったね、重要な事なんだね」
「永遠の生命を持っているベニクラゲって知っているでしょ?」
「うん、まさにストレスを与えると初期化して、赤ちゃんに戻ってしまうってやつだね、現在、完全な不老不死生物はベニクラゲだけだ」
「そう、その構造をSTAP細胞技術を利用して解明できたのよ、完全にストレスコントロールが高等生物でもできる様になったのよ」
「一気に少子高齢化問題の解決だな」
「そういう事、老人になったら初期化っていうのが当たり前の時代になったわ」
「ところで、老人が赤ちゃんにまで初期化できるストレスってどんなストレスだい?」
「聞かないほうが良いわ」
「…」