ss1576 プログラムされた社会
「コンピューターシティー」
「ええ、簡単に作れちゃったわね、あたしたちの子孫はこれからこの完全管理された安全な都市で生きてゆく事になるのね」
「失敗しない社会とも言えるわね」
「うん、交通事故も病気も無い世界だわ、教育も個々人の個性に合わせたストレスのない最高の内容になっている」
「ストレスは悪であるという発想からこのコンピューターシティーは形成されているわ、みんな不満も不平も無く、苦しみの無い世界で生きてゆけるのよ」
「いじめっ子もいじめられっ子も居ない。暴力団などの闇も無いし、ボランティアの存在意義も無くて、存在しない世界ね」
「個々人の個性、体質変化、思考の移り変わりまで、綿密にコンピューターが追って行くから、病気も、子供の時の反抗期すら綺麗になだめて解決してしまうわ」

「いくらコンピューターシティーといえども、そのコンピューターシティーを作り上げた我々のような管理者、上流階級が存在する」
「ああ、我々も、我々の祖先の作ったこのコンピューターシティーで生活する限り、基本は完全管理されている平民と同じだ」
「うむ、しかし、我々だけに提供されている特権がある」
「ああ、今では体験できなくなった病気≠ニいうものを金で買って体験する事もできる。それから失敗やストレス≠ニいうものも、高価ではあるが、買って体験する事もできる。」
「こんな素晴らしい過去の遺産を体験できるのは我々上流階級の人間だけだ」
「はらはらどきどきプリキュアな世界を堪能できるなんて、上流階級に生まれて先祖に感謝しているよ」
「でも、気お付けろ、がんという病気を試してみて、早死にした奴も居る」
「そうだな、このコンピューターシティーでは、平民は病気にならないので、病院というものすらないからな」