ss1574 契約家族
「そもそも家族の発端は、他人どうしの男女の契約から始まる」
「そうよね、基本が他人なんだから、子供だって、他人でも良いんじゃない?」
「もちろん、養子制度は昔からあるよ」
「そういえば、あなたもわたしも養子だわ」
「あはは、つまりぼくらの両親は遺伝子的に他人だし、このぼくらの子供の地球人の子も養子で他人だ」
「つまり、あたしたちは全て他人の集まりの家族という事ね」
「うん、血縁での関係はない。契約家族と言っても良いだろう」
「というか、血縁関係になる事そのものが難しいわよね」
「そうだよな、ぼくは火星人だし、きみは金星人で、ぼくの父は木星人で、母は土星人だ、きみの両親も…」
「そうよ、母は海王星人で父は冥王星人よ」
「大本はこの子の星の地球というのが人類の発祥の地らしいけど、もう移住先の星で進化してしまって、遺伝子の互換性が無くなってしまっている」
「宇宙戦争が起こってもぜんぜんおかしくない状況だけど…」
「ぼくらが作った会社は、太陽系規模のグローバルな契約社員の派遣会社で、各星から集めた宇宙兵士の契約社員の派遣もやっていたけど…」
「契約家族の派遣業務に変えて良かったわね」