「完璧かはどうあれ、ほんとうに真剣に自然災害に立ち向かってくれた人たちを、国家主席の人までここまで感情的に訴えるとは…」
「交通事故とかでも、道の構造や電信柱の位置とかが明らかに問題であっても、人間のほうをまず責める。どうなってるんだ? この国は?」
「ああ、外人が、土下座の映像を見て驚くよな、なんであんなにもまず仲間を徹底的に、事が起きてすぐに責めなければならないんだろうな、外人はまず、自然災害や神を恨んだりするわけだが、それから時を置いて神が与えた試練だったんだとか言い出すんだけど、この国の住民はすぐに自然なんだから仕方が無い、道路がこうなっていたんだから仕方が無い、悪いのは絶対にお前だってなってしまう…」
「おかしい…、どう考えてもおかしい、まず根本原因のほうを恨むべきだろう」
「うむ、じゅうぶんに根本原因のほうを恨みぬいてから、その根本原因のほうをどうにかしようとしてから、それの流れでなら感情的ではない、適切な個人攻撃に移ってもいいだろう」
「で、根本原因のほうはなんとかなるのか?」
「なるわけねえだろ」
「…、やっぱ、安易に仲間を責めるほうが楽だし、すかっとするよな」
「だめだそんなんじゃ、やはり全てを受け入れてくれる神を作らねばなるまい」
「巨大なわら人形の神様だな、土下座のポーズか、あれ、お腹がふくらんでるぞ」
「うん、お腹には納豆を仕込んどいた、災害に備えてな」
「…」
「隕石は背中で受け止めてくれるんだぞ」
「…」