「サイエンスフィクションでは、宇宙人はとんでもない奇妙な形で描かれる事が多いが…」
「そうですね、地球上ではその言葉がそのまま人類に当てはまります」
「そうなんだよな、地球上の人間以外の生物は、ちゃんと環境に合った、機能美≠フ容姿をしている。人間だけが、こんなへんてこりんな飛躍し過ぎた容姿だ」
「自分自身ではあんまり気付き難いものですが、なんでこんな自然界ではありえない形になってしまったのでしょう? ヌードに汗腺の異常な発達…、弓形の背骨…、この不思議なグーを作れる手の形…、腕の返し回転…、それに声の獲得による窒息死し易い様な喉の構造…」
「馬鹿げている、突然変異、自然淘汰の組み合わせだけで、こんなものが上手に、変なものばかりが残れる訳がない」
「何一つ欠けても、人類は今の文明文化を築けなかったでしょうね、しかも今の高度な文明文化はここ数百年で急激に成しえていて、その高度な文明文化の中で産まれてくる人類は、その文明文化の中で暮らせてしまう、理解して使いこなせてしまう」
「どういうことなんだ? よく考えてみよう、新しく産まれて来た赤ちゃんが、数年後にはスマホが操作できて、また数年後には新型ロケットの設計図まで書ける者まで出てくるんだぞ、地球上で暮らすのに不必要な超能力≠人間は獲得した状態で産まれて来るんだ、どういう事なんだ?」
「ええ、不必要な超能力≠人間は獲得した状態で産まれて来ます。」
「必要なのだろうか?」
「必要なら、何に対して必要なのでしょう? ここ数百年の文明文化の発達はいったいなんなんでしょう?」
「何かに備えているのだろうか?」