「一人の女性から産まれる子供の年齢は、全てその女性と同じ年齢だ」
「うん、そうだな、卵を中心に考えるとそうなる。俺らの精子は単なる起動スイッチに過ぎない」
「女性が産まれた時に卵母細胞の数は既にきまっている。つまり卵の数は決まっていて、増えない。その女性が大人になって三人の子供を三年毎に産んでも、表面上の歳の差があるだけで、その兄弟姉妹は実質的には同じ年齢だ、母親であるその女性とも同じ年齢だ」
「不思議な感じだけど、それが事実なんだよな、そしてもったいないが、殆どの卵が毎月受精せずに血と共に流されてしまう。閉経後は体内に幽閉されたまま死を迎える」
「もったいない…、少子高齢化の時代にもったいない…、子宮が足りないだけで、子宮を至急作る必要がある。そして…、カッコウの託卵技術の登場だな」
「そういう事だ、卵は女性と共に歳をとる、卵がぎりぎり正常なのは女性が三十三歳までだ。人間の野生での平均寿命が三十三歳である事に起因している。三十四歳以降の生活は野生では殆ど無く、実質老後の余生に価するわけで、正常な繁殖には適さない。三十三歳までが勝負だ、それまでにより多くの託卵を決行する」
「つまり…、男性に気付かれないように男性に託卵する訳だな」
「そういう事だ、タツノオトシゴ計画だ、男性が胎児の時に操作して準備する。卵母細胞はもちろん無理だが、男性に膣と子宮を残す事は可能だ、男性は女性を改造して作られるものだから、その残すという操作は容易だ」
「男性も子供を産めるんだな」
「感無量だ、その受精卵が他の夫婦のものであったとしてもな…」
「満員電車とかで簡単に託卵できるぞ」
「…」