ss1537 大変な変体
「しかしアイピーエス細胞は作れても、実験動物の体の中でしか立体的に正常な人間の臓器を育てられないようじゃ、この先困るだろう、今回のように細胞融合までいっちゃう場合もあるし…」
「そうですね、では、やはり、アイピーエス細胞技術は置いておいて、他生物を使わずに、シャムの双子技術を導入しましょう」
「えっ、あの一つ半の頭が融合したり、二人なのに一つの胴体や三本の足を共有したりしている人たちの技術をかい!?」
「ええ、双子というよりも、分離してないんですから、元々一つの受精卵なんですから、正常な人よりもパーツが多いだけと考えてください」
「なるほど、分かれてないから、頭が二つ有って、脳も二つ有っても一人の人間という事なんだな」
「そうです。最近のゲノム解明で、枯葉剤などの薬物を使わずに、臓器や脳や生殖器を自由自在に好きな場所に好きなだけ育成できるようになりました」
「なるほど、この技術が一番安全に予備パーツを一度にいっぱい育てられるな、薬物も使わず、他生物も使わないんだからな、遺伝子に命令するだけだ」
「そうです。受精卵の時になら、何人もの他人の遺伝子を容易に組み込ませる事ができますので、お客様たちの需要に応じて臓器製造人間が成長後でも、希望の臓器を新たに育てられます」
「いいのかよ、こんな事して、臓器製造人間の人権は?」
「技術はもう有ります」
「ああ、倫理は後から作るものだからな」
「お金持ちたちが決めてくれます」