「デフレが三十年近くも続くと食文化もいろいろ変わってくるのね」
「ええ、子供が少なくて一人の子供に数人の大人の親族がちやほやしていた十数年前とは違って、一クラスの平均三人は給食が唯一の食事で、一日一食なんですってよ」
「まあ、学校が休みの日はどうしているのかしら?」
「水でも飲んでがまんしているんでしょうね」
「親が非正規社員だとそうなっちゃうし、一応給食費と日本の凄まじく高い住居費が払えるくらいだから、生活保護も受けられない…」
「デフレが長いと親族も苦しくて応援できないしね…」
「でも、見た目では、どの子が食の危機にさらされているのか判らないわ」
「ええ、子供の成長の速度は個々人でバラバラだしね」
「もしかすると、飢餓の時に発現する体のシステムが発動しているんじゃないかしら?」
「そう、それだわ、少ない食料を一滴も無駄にせず、給食の時におかわりを繰り返して、余ったエネルギーを効率よく脂肪として蓄えられるようになっているのよ」
「やっと政府の政策が実行されて、子供の居る家庭へお金が多く回るようになってきたわね」
「元飢餓児童…、進撃の巨人になってない!?」
「普通に一日三食になっただけよ、量も普通の家庭と同じって聞いているわ」
「飢餓の時の効率の良い体質のままで、食事量が正常になったからだわ」
「怪我の治り方も、早いわ、再生能力も高かったのね、まさに進撃の巨人だわ」
「中学生になったら食欲も増すわ、食べられないように注意しないとね」
「…」