「人間の心は、記憶が全てなのね」
「そうよ、性格なんてそれなりに長い人生の中でどうとでも変わるわ、それに実際には個性と呼べるほどの個人差はないわ」
「人間の精神活動は、微弱電気の変化なだけなのね」
「そうよ、はかないものよ、どうとでもなるものなのよ」
「これって…」
「そう、物心が付く年齢になったら、誰でも無料で利用できるのよ」
「最初は子供の自殺防止に考案されたものなのよね」
「そう、でも、今では赤ちゃん以外は全ての人が利用しているわ」
「記憶を自分の脳に取り込める装置ね」
「そう、微弱電気の変化をプラスするだけよ、誰かが経験した素敵な記憶を自分の脳に取り入れる事が、この装置でできるようになったわ」
「ほんと、素敵ね、嫌な記憶もこの装置で消せるのね」
「そう、消せるわ、元々子供の自殺防止に考案されたものだからね」
「あたし、このハワイ旅行の記憶を入れようかしら…」
「あ、でも気お付けて、その記憶を取り入れた人たちのコメントを呼んでから取り入れたほうがいいわよ」
「そうね、記憶プールの中には愉快犯の犯罪記憶とかも有るそうだからね」
「そういうスリリングな記憶を好んで入れる人も居るけどね」