ss1497 みとこんどりゃあー
「地球上にいろいろな生物が居るけど、もしかするとほとんどみんなミトコンドリアとの戦いで、こんなんなっちゃったのかな?」
「そうかもね、本体の細胞は死にたくなくて、でも追い詰められて、本来、不老不死なのに、苦肉の策として、活性酸素で死ぬ前に、子孫を残すという道をえらんだのかもね」
「生物によっては、基本の分裂とかじゃなくって、性≠ニか、子孫≠ニか、新しい概念を生み出した訳だ。でも、その子孫にもミトコンドリアは漏れなく付いて来る」
「嬉しくないおまけだわね、どうにかして元通り分離できないものかしら?」
「でも、そんな事したら原始的な単純な生物に逆戻りだよ」
「本体の遺伝子としては満足するんじゃない? あたしたちのこの魂というか、心なんて、細胞の上を便宜上流れてる薄っぺらな微弱電流なだけじゃない? 本体の遺伝子を守るために、遺伝子が飢えて滅びないために、道具として意識があるだけよ」
「そ、そうなんだろうけどさ、でもさ、本当にぼくらの意識って、本体の、本体だけの意識なんだろうか?」
「そ、そうね、それは疑問ね、脳の細胞の中にもミトコンドリアは居るわ…」
「高等になった、ぼくら人間という生物は、自殺を選択出来るようになった。心の声の中に、ミトコンドリアの死ねっていう言葉が入って来てるんじゃないか?」
「当たりかもよ、それ…」