ss1493 あたしたちの二度寝
「二度寝って最高ね」
「そうね、特に今の寒い季節には最高だわね、さあまた寝ましょう」
「…、ってあんた誰? あたし一人暮らしのはずだけど…、眠い…、まっいっか、二度寝したいわ」

「あぶないあぶない、あたしたちの存在に気付かれそうだったわ、ふう、寝てくれたわ」
「気を付けてよ、ちょっと強引なしゃべり方だったから…、さて、この人、どのくらいの階層まで行ったかしら?」
「今、二十二度寝目に突入したから、二十三階層在るわ、新記録よ」
「この人、アバウトな性格のようだから、ここまで来たのね、順番に目覚めて行くにも何年もかかるでしょう。それぞれが深い眠りのようだし」
「あたしたちも無事二十三階層目に移行出来たわね、あたしたちはこの人が生み出した心の声だわ」
「…、ほんとうにあたしたち、二十二階層目のあたしたちかしら? 二十三階層用に新たに作られた心の声かも知れないわよ」
「やっだー、怖い事言わないでよ」
「二十二度寝目のあたしたち、もう存在していないかもね」
「…、心の声なんて、いえ、心≠ネんてそんなものよ」
「この人のほんとうの心≠チて、二十三階層目で夢も見ずにぐっすり寝ているこの人じゃなくって、あたしたちじゃないの? もしかするとよ」
「じゃ、なんであたしたち=H」