「先生、うちの母の症状は…」
「はい、軽度ではありますが、総合失調症です。」
「精神病、キチガイという事ですね?」
「総合失調症です。」
「入院する段階でしょうか?」
「はい、残念ながら、今すぐに入院の手続きをして下さい。うつで自殺の恐れがあります。もう二足歩行で徘徊とかしているでしょう?」
「はい、大変驚いております。それにわたしたち家族が見えてない様なんです。幻覚を見ていて、その世界に居る様なのです」
「典型的な総合失調症です。地球≠ニいう総合失調症治療専門の星に入院していただく事になります」
「地球≠ニいう星にはうちの母と同じ様な病状の患者がいっぱい居るんですね、先生」
「はい、よく入院を決心してくれました。全宇宙の総合失調症の患者さんたちを、一手に収容しております。貴方のお母さんの様な軽度の患者さんだけでも、病名で人間≠ニいう段階の患者さんだけでも、70億人も居るんですよ」
「さすがは全宇宙の総合失調症病院ですね」
「この人間という段階の症状の二足歩行も奇妙ですが、四足歩行の患者さんもけっこう居るんですね」
「はい、もう少し失調症が進んでしまった患者さんです。」
「飛んだり跳ねたり、そして…、もっと奇妙な動きをする患者さんは…?」
「はい、残念ながらここで一生を終えられるであろう重度の患者さんたちです。ランダムに蠕動運動とかしていますでしょう? 単細胞生物とか細菌とかウイルスとかいう病名の段階で、一番数が多いのです。全宇宙から患者さんを集めるとこの様な物凄い数になってしまうのです。この段階になってしまうとわたしたち医師でも、彼らがどの様な幻覚の世界で生きて居るのか、完全には把握しきれておりません…」
「それほど実在♂F宙での生活は病んでいるという事なのですね」
「はい」
「外見はみんなうちの母と同じ様なのに、背丈も同じ様なのに、見て、居る、幻覚の世界である擬似♂F宙が、みんな段階によって違うんですね」
「はい」