「最近、宇宙人の言葉を、断片的にだが、解読出来るようになった」
「なんと言ってるんです?」
「う〜む、それが…、ちょっとね」
「なんです?」
「我々地球人はどうやら故意に宇宙の事を、宇宙人の事を忘れている様なんだ」
「なんですって?」
「嫌な事って忘れたいもんだろ」
「嫌な事を忘れるために故意に宇宙の事を、宇宙人の事を忘れたって、どういう事なんです? 宇宙人たちはなんと言ってるんです?」
「前世紀のさ、はじめの頃さ、オーストラリアってさ、ヨーロッパの凶悪犯罪者の島送りになった島だろ? まあ大陸だがね」
「まさか! 地球は宇宙人の凶悪犯罪者の島送りになった…、星という事ですか!?」
「そういう事の様だ、地球送りになった宇宙の凶悪犯罪者である我々は、こんな地球という未開の地獄の星に流されたという事を忘れたいがために、全宇宙で一つに統一されている宇宙語を故意に忘れ、様々な地球語を作り上げた様なのだ」
「もしかして、我々の姿形も?」
「その様だ、新たに地球に送られて来る犯罪者たちは、動物や人間や昆虫や細菌やウイルスになる事を勧められる。そしてあたかも自然に地球で産まれた様な経路を辿る様になっている」
「辺境の地獄の星に送られた事を、忘れさせてくれる、死刑執行機関の配慮という事なんですか?」
「どうやら、そういう事の様だ」