「魚やタコの仲間には半身を違った色や形にする事が出来るのが居るのよね」
「面白いわよね、魚は見た事あるわ、求愛するメスの居る左には、自分の左半身を穏やかな色に変化させて見せて、敵対するオスの居る右半身には威嚇の色を見せる事が出来るのよ、求愛するメスと敵対するオスが、左右ぐるっと入れ替わっても瞬時に色を変えるのよ」
「そうでしょ、タコなんかもっとはっきり強烈で凄いわよ、求愛するメスの方はデレデレフワフワの皮膚にして、敵対するオスダコの方には皮膚から突起物を出して威嚇するのよ」
「魚もタコも下心とライバルに対しての心の二分化が、はっきり見て取れるのね」
「で、この宇宙社交場に来ている、この宇宙人だけど…」
「あたしたち地球人には優しい左顔を作って向けていて、鬼の様に怒った右顔を別の紳士な宇宙人に向けてるわね」
「魚やタコの正直で純粋な下心ならかわいいけど、ふられてもしょんぼり帰って行くだけだけれども…、一応こいつは宇宙社交場に来る様な、高等な宇宙人だからね」
「ええ、油断して変な交渉を持ちかけられて地球を侵略されでもしたら大変よね」
「ここは反対側に居る紳士な宇宙人さんと連携をとるわよ、迷惑してるみたいだし、合図して!」
「ええ、それっ! ぐるぐるうっ」
「どうだ、まいったか、半身二枚舌顔野朗! お前の周りをみんなでぐるぐる回ってやったぞ! 地求人さんたちありがとう、こいつ伸びちゃって僕もやっと開放されたよ」
「いえいえ、でも、まあ…、こいつ優しい顔と鬼の様な顔の中間になって、超いけ面の宇宙人になってるわ」
「ほんとかっこいい! 下心も中和されてるといいけどね」
「あたしこんな宇宙人になら侵略されても良いわ」
「あのね、きみたち…」