ss1451 家族
「サザエさん一家、まる子一家、のびた一家、しんのすけ一家に憧れた事はないか?」
「有るわ、永遠の小学生、老衰しない老人、子離れしない子供好きのパパママ」
「そうだな、かれら一家は何十年経っても子供は子供、大人は大人、老人は老人で設定された時空間の中で生きている」
「出来るのね」
「ああ、科学はそれを克服した、現実世界でも年齢の変化の無い家族を維持していける様になったんだ」
「素敵…、って言って良いのかしら」
「そもそも医学の力で老化や死は克服されてしまっているんだ」
「そうね、このまま人が死なずに永遠に生きて行ったら地球は人間でパンクしちゃうものね」
「永遠に小学生っていうのも楽しいかも知れないが、永遠に赤ん坊というのはどうだろう?」
「そうね、母親からしてみればそういうのも有りかも知れないけれど、赤ちゃんのほうは嫌でしょうね」
「しかし、永遠に同じ状態の家族っていうのは飽きないものだろうか?」
「それは飽きるでしょうけど、なにか方法は無いの?」
「一年毎に一年分の記憶を消す研究が進んでいる」
「ちょっと待って、この会話一年前にもした様な気がするの」
「そういえば僕もそんな気が…」
「わたしたちの一家、何年前から永遠を繰り返しているのかしら…」