ss1440 個人情報保護法
「個人情報保護法も進化して来たわね」
「うん、家族でも秘密を守らなければならなくなったわ」
「家族?」
「え、ええ、三人ともあたしの子供よ」
「それは当たり前よ、父親がみんな違うでしょ」
「…」
「あんたの旦那の子一人も居ないでしょ?」
「…」
「あんたの旦那、個人情報保護法でこの子たちの血液検査も、遺伝子検査も、相当困難な手続きを幾つもしないと出来なくなったから大丈夫よ」
「ありがたいわ」
「あんたの旦那の子はこの子よ」
「まあ、親友のあなたが産んでくれたのね」
「あなたに話したけど、この子も完璧に個人情報保護法で守られてるから、検証するには相当困難な手続きを幾つもしないと出来ないわ」
「良い時代になったわね」
「ほんとにね」
「あら、もう一人?」
「ええ、双子じゃなくてクローンよ、どちらかが生き残ってくれれば良いわ」
「…」
「パーツ取り用にと思って闇の医師に頼んだの、指紋まで全く同じよ」
「個人情報保護法はどうなるの?」
「さあ? 登録は一人だけよ、だって全く同じなんですもの」
「…」