ss1431 退化の対価
「生物は使う部分はどんどん進化するけれど、使わない部分はどんどん退化してゆくわ」
「そうよ、人間一人の一生でもそれは顕著よ、自動車ばかり乗ってて歩かないで居ると、最悪歩けなくなってしまうわ」
「人間の生活も文明・科学が進歩して来て、何でもオール電化になって来て、体を動かす必要がなくなって来て…」
「昔の人間と比べると随分と基礎体力が落ちてしまったわよね、このままでは…」
「身体障害者が使う目線でパソコンや機器を動かす時代を経て、今では脳波で、脳の微弱な電波で、車椅子や家電を動かせる時代になったわ…」
「一部の国で、上流階級の人間たちが身体障害者でもないのに、脳波で自動車はもちろん空調の微妙な調整や照明の光量や料理食事に至るまで、やってしまっているわね…」
「人間の体の退化は、人間一人の一生でもかなり進み、子供の頃から体を全く動かさなければ、全く動かなくなってしまう」
「そうね、一方、脳の柔軟性もかなり有って、人間一人の一生の中であらゆる工作ロボットや複雑な宇宙船をも操作出来る様になってしまう、子供の頃からやっていれば相当高度な事が可能よ」
「人間の脳でよく言われるけれど、三本指でも、十本以上の指でも脳は認識したら、それに最適化して器用に使いこなせてしまうからね」
「このまま何世代も脳波中心の生活が進めば…」
「体は自然に消えてしまうわ…」
「あたしたち宇宙人の様にね」
「昔はあたしたちを神≠チて言ってくれてたのにね」