ss1389 テレビジョン
「ナチュラルな階調のテレビを作れれば、後は画質を落とさずに調整するだけだ」
「見たままの自然な映像を再現する事こそ難しいものはないが、我々は最大の武器として長年の研究によりそれを実現している」
「国によって青や赤を強調したのが好みだったり、めりはりがはっきりしたものが好みだったりと色々だ。我々はそれを画質を落とさずに最高の調整を行い発展途上国でも高い価格でテレビを売る事に成功している」
「これもヒットしているな」
「ああ、ボタンひとつで各国のテレビ仕様に変更出来て、万国の映像を楽しめる万能テレビだ」
「このボタンは…」
「国別だけじゃない、愛犬が見ているであろうボケる範囲が人間とは違い、かつ特殊なモノクロにするボタンも付けたし、庭に来る蝶が見ているであろう紫外線領域に擬似的に調整したものもある」
「凝ってるな、六角の複眼仕様か」
「全てに徹底的に拘ったのがヒットの勝因だ」
「このボタンは…」
「エックス線領域にも、様々な蓄積した情報を元に瞬時に補完映像を組み込ませて、擬似エックス線映像にする事に成功している」
「すごい…、普通のテレビカメラで撮影したものの筈なのに、人物や動物の骨格がちゃんと動いて見える」
「このボタンは…、かなり異質な色彩と形状の画像になるが…」
「地球に偵察に来ている宇宙人が見ているであろう映像だ」
「…、うちのテレビジョンは宇宙人にも売れるな」