ss1388 ものづくり
「ものづくり日本は子供も作れなくなったな」
「デフレだからね」
「駆動部分、機械的な部分、つまりわくわくするものづくりの基本的な部分は今も昔もだんとつで日本が世界一なんだが、デジタル時代になって駆動部分が無くなってソフトウェアの時代になって面白味がなくなってしまったな」
「あたしは女だからメカとかには興味が無いわ、楽しく便利に軽くコンパクトに使えればそれだけで満足よ」
「う、うん…、解るけどね」
「無駄じゃない? 今の時代駆動部分なんて」
「う、うん…、解るけどね、でも、ちんちんは付けたいんだよ」
「あたしたちの子供、家族会議で男の子に決定した訳だけど、そんな駆動部分なんて必要ないでしょ?」
「確かに、医療技術も進化して、人体の駆動部分も不要となりつつある。心臓を除く内臓は全て無くなった。一番エネルギーを使う消化器官が全て無くなった。でも…」
「ええ、食事って分子的にみればただの物質交換なだけで、ソフトウェアで単純に分子の組成を組み替えてあげるだけでよいのに気付いてしまったものね、だから成長の止まった大人の場合は細胞の老廃物を変化させるだけで何も食べず、何も出さずに生きて行ける様になったわ。だから新生児の消化器官の内臓は全て不要になったので、胎児の時に生成しないようにしてしまったわ」
「トイレも不要になったから尿道も肛門もなくなった」
「子供を成長させるには定期的に必要な分子を投与するだけでよくなって、生殖もipsから簡単に精子を作れるから、人体で無駄に天文学的な数の精子を一生作り続ける必要も無くなったわけでしょ」
「それでも、ものづくりの象徴として、俺たちの子にはちんちんを付けたいんだよ、わくわくするだろ?」
「全然」
「…」