ss1364 犬喰い
「人間も基本は犬喰いじゃないか?」
「そうだな、他の仲間に喰われる前に物凄い勢いで喰う。単独で生活している猫なんかにはありえない喰い方だよな」
「うん、文明社会で生きてるごく一部の人間だけが猫のように喰うようになって来ているが、地球上の大多数の人間がまだまだ犬喰いをしている」
「体に悪いんじゃないのか?」
「もちろんだ、喉に詰まって死ぬ事もある」
「でも、犬喰いすると食べ物って物凄く旨くないか?」
「俺もそう思う。窒息しそうなくらい口に詰め込んで殆ど噛まずに飲み込むと物凄く食べ物が旨く感じる」
「女にはそういう感覚はあまりないようだ、やはり狩を長い事やっていた記憶がなかなか取れないんだろう」
「農耕生活、家畜工場が発達して久しいのに、まだまだ我々人間は、男は犬喰いする事で最高の旨みを感じるようになっている」

「で、今、我々の目の前に犬顔した精悍な宇宙人と、猫顔した巨漢の宇宙人が腹を空かせて居るわけで…」
「お前猫好きだったよなお前はそっち行けよ」
「バカ野郎! ゆっくりじわじわ喰われてたまるかお前が猫の方に行け!」
「仕方が無い、一緒に犬顔した大きく裂けた宇宙人の口に飛び込むぞ!!」


 犬顔の宇宙人は満足気な喜悦の顔をして窒息して死んだ… それを、のどに詰まってまだ生きている地球人とともにゆっくり、じっくり、楽しく遊びながら猫顔した宇宙人は喰い始めた。