「なんだそれは」
「機械だよ。」
「なるほど、コスモスだな」
「そうだ、秩序だ」
「形あるものだな」
「そうだ、構造だ。」
「その部分には何を仕込むんだ?」
「記憶というものだよ」
「なるほど、面白そうな概念だな」
「時間というものも入れる」
「カオス、混沌から、無から生まれしものなんだな」
「そうだ、良い暇つぶしになる」
「時間を作ったから暇つぶしというものも生まれたか?」
「そういう事だ」
「この部分はメモリーチップだ。ここに記憶を記していくんだ」
「まだ記憶の書き始めで自他の区別がつかないんだな」
「赤ちゃんって言葉が浮かんだ」
「だんだん個が出来て来たぞ」
「うむ、そろそろ世界という記憶を作って埋め込んであげよう」
「父母? 友達? 学校? 他生物? 地球? 宇宙? なんだそりゃ」
「なんでも良い。暇つぶしなんだから」
「そうだな」
「飽きて来た」
「おいおい、せっかく作った“命”という概念なんだから丁寧に消してやれよ」
「そうだな、だんだん自他の区別がつかなくなって行くってのはどうだい?」
「そうだな、既にその形式はこのメモリーチップの記憶の世界観にある“ぼけ”というものだ」
「メモリーチップの記憶が消えた…。」
「父母、友達、学校、他生物、地球、宇宙… 面白いメモリー内の事象だったな」
「今度はお前がこのメモリーチップに書き込んでみるか?」
「お前に俺か、そんな“嘘”の概念が根付いたな、この“一体”のアンドロイドによって」
「ヒトだよ」
「あ、ごめんヒトだったな」