ss1354 アンドロイド
「なんだそれは」
「機械だよ。」
「なるほど、コスモスだな」
「そうだ、秩序だ」
「形あるものだな」
「そうだ、構造だ。」
「その部分には何を仕込むんだ?」
「記憶というものだよ」
「なるほど、面白そうな概念だな」
「時間というものも入れる」
「カオス、混沌から、無から生まれしものなんだな」
「そうだ、良い暇つぶしになる」
「時間を作ったから暇つぶしというものも生まれたか?」
「そういう事だ」
「この部分はメモリーチップだ。ここに記憶を記していくんだ」

「まだ記憶の書き始めで自他の区別がつかないんだな」
「赤ちゃんって言葉が浮かんだ」
「だんだん個が出来て来たぞ」
「うむ、そろそろ世界という記憶を作って埋め込んであげよう」
「父母? 友達? 学校? 他生物? 地球? 宇宙? なんだそりゃ」
「なんでも良い。暇つぶしなんだから」
「そうだな」

「飽きて来た」
「おいおい、せっかく作った“命”という概念なんだから丁寧に消してやれよ」
「そうだな、だんだん自他の区別がつかなくなって行くってのはどうだい?」
「そうだな、既にその形式はこのメモリーチップの記憶の世界観にある“ぼけ”というものだ」
「メモリーチップの記憶が消えた…。」
「父母、友達、学校、他生物、地球、宇宙… 面白いメモリー内の事象だったな」
「今度はお前がこのメモリーチップに書き込んでみるか?」
「お前に俺か、そんな“嘘”の概念が根付いたな、この“一体”のアンドロイドによって」
「ヒトだよ」
「あ、ごめんヒトだったな」