「昨年の夏は記録的な暑さでたくさんの人が死んだ」
「そうだったわね、クーラー嫌いな老人や不況でクーラーのないボロアパート暮らしの学生を中心にバタバタ逝ったわね」
「今年の夏も昨年なみの暑さだったらどうしよう」
「そうね、原子力発電所の事故で大幅に電力が無くなっているからクーラー規制がかかるかもね、そうすると昨年以上の死者が出ることになるわ」
「政府は企業に欧米のようなサマータイムを導入しようとしている。涼しい朝に時間をシフトさせたいようだ」
「ああ、一時間ていど早く始業させて電力を抑えようって計画ね、でもそんな程度じゃだめでしょう」
「そうだな、今ちょうど春で暑くも寒くも無く、電力を使わなくても良い季節だが、これを維持しようじゃないか」
「そんな事できるの?」
「出来るさ。放射能で怪獣化した巨大生物たちに地球を押してもらって、この春の季節の軌道を維持しつづけてもらうんだ」
「手足が火力推進力になるガメラとかにね? でもそんなにうまく調教できるの?」
「大丈夫だよ、もともとぼくのペットだったんだもの」
「…、あのバカガメ!? 軌道の微調整なんて出来るの? 灼熱地獄や寒冷地獄の星にしやしない?」
「するかも…」