「パラレルワールドってあるの?」
「あるさ、ちょっとずつ違う世界だろ?」
「ええ、あたしがお昼に紅茶を飲んだ世界と飲まなかっただけの世界や、口紅を付ける時綺麗に出来た世界やちょっとだけはみ出た世界やいっぱいはみ出た世界。それから考えたくないけどあたしそのものが居ない世界があるとか… ちょっと怖いわ」
「心配しなくていいよ」
「え?」
「だいじょうぶだよ」
「なにがだいじょうぶなの? あたしだけが居ない世界とかもあるんでしょ?」
「宇宙が膨張期から収縮期に転じたようだよ」
「え?」
「宇宙の終わり、世界の終わりだ。宇宙は原初的原始プライミーバルアトムになって次のビッグバンに備える」
「唐突になにを言い出すの? それがほんとうならパラレルワールドどころじゃないわ」
「パラレルワールドがぼくらを救うのさ」
「え?」
「調べて見て判ったんだけど、無限にあるパラレルワールドはどうやら時間がちょっとづつずれてるだけらしい。それ以外は全く同じみたいなんだ」
「え?」
「つまり宇宙の収縮で消える宇宙もあるけど、無限にその前の段階、その前の段階の時間が続いていてぼくらは消滅しないんだよ」
「それって… ありがたいことなの?」
「…」