ss1329 ぶさかわいい
「アイドルのひとつの分野にぶさかわいいというのがある」
「そうね、八重歯が出てるとか、鼻が潰れてて上を向いているとかでしょ?」
「そうよ、それをトレードマークにデビューして、その後に歯を矯正して直したり鼻を整形して綺麗に高くしたとたんに人気が落ちてしまったりするわ」
「でもぶさいくというのは時に考えものよ、一見変わっててかわいく見えるのは良いけど、生物学的にはちゃんと機能していないっていうことなんですもの」
「そうなのよね、八重歯だとよくものを噛めなくて胃腸に悪いし、虫歯になりやすいし、顎の骨を歪めて脳にも悪影響があったりするわ。鼻も上を向いたままだと外気をうまく体温に馴染ませることができなくなって肺にも悪いのよね」

「ぷっ」
「笑わないでよ、あなただって凄い顔に変形させられてしまっているわよ」
「そ、そうね足も短足になっちゃったし…」
「ぐえっくしょん。ぐえっくしょん」
「あなた変なくしゃみするわね、体悪いの?」
「そうなのよ、ブルドックと同じで品種改良されてしまって息が苦しいのよ、構造上ね」
「ひどいわよね、あたしたちの地球を支配した宇宙人。あたしたちをこんな姿にして… まああの人、小人にされてるわ、大阪出身のチャウチャウ犬みたい。目玉は小さく出来ないから顔の殆どが目ね、少女マンガに出てくる人みたいだわ」
「チャウチャウは大阪出身ちゃうちゅう。でも、ペットとして生かしてもらってるだけでもありがたいと思わないといけないわ。それにけっこう贅沢なくらしじゃない?」
「そうね、あたしたちは宇宙人のペットアイドルなんですものね」
「元の地球人の形ってどんなんだったっけ?」
「原種の地球人なんてもう居ないわよ」
「そうだったわね」