ss1328 貴方も神の子、ひでお君になれます。
「人類の夢・希望の詰まった第三段階のプログラムが発動された」
「愛する者のために死ねるなんて最高の夢・希望だわ。嬉しい! 嬉しすぎるわ!!!」
「そうだろうそうだろう。それをもっと助長させる木目細かい設定もしてあるんだよ」
「なになに教えて」
「あっさり死んではなんにもならない。今までは個々人の日々の、他者を救う努力は自分の心の中だけにしまっておいたものだが、それを自動的に世間に知らしめ、そしてフィードバックしてよりいっそうの自分の喜びとするということが可能になったんだよ」
「なるほどなるほど」
「実際には一般の人と変わらないレベルの実力や努力でも、有名小説家や有名漫画家などの仕事は偉業として称えられ、世間に発表され、本人は偉人、英雄としての満足感を得られるだろう? それを有名無名にかかわらずこのシステムでは全ての地球人が実際に行なった実証努力によってそれに見合った賞賛を味あうことができるようになったんだよ、有名人もこのシステムでは人気による嵩上げも無くなっている」
「まあ素適実証努力が全てなのね、あたしも英雄になれるのね、英雄はその偉業を他人に伝えられ称えれてはじめて成立するものだけど、個々人毎に組まれたプログラムを統括管理出来ているからこそ、全ての人が英雄になれるチャンスがあるのね」
「そういうことだ。全ての人間はこの生涯幸福プログラムで結ばれ個々人の行動は全て詳細にスキャンされている。だから今日この時間、他の者のために努力したと瞬時にネットワークで直接伝えられるんだ。テレビも新聞もインターネットも連動していて発表されるようになってはいるが、知りたい必用な情報は検索する必要は無い。その遺伝子個性毎の興味のある偉業をした人のスキャンされた情報が生涯幸福プログラムにより瞬時に選出され、必用な人にリアルタイムに連続して映像メールとして届くようになっている。知りたい人が映像メールを読む訳だから必ず賞賛のメールが帰って来るのだ」
「なるほど、素晴らしいわ、努力に見合った評価が内容的に興味のある人に映像メールとして伝えられそして必ず称えられるのね。無名の人の日々の努力はどんなに素晴らしくても誰にも知られないというのが普通だったのに… 努力しだいで全ての人が有名人になり英雄になれるのね」
「そういうことだ。そういうシステムなんだよ」
「こうして人々は他の者のために努力することを競い合い、全員が素晴らしい英雄として死ねるのね」
「そういうことだ。アポトーシスこそが人を感動させる最上の行為なんだよ。アポトーシスは天然の遺伝子に組み込まれている必需の最重要のプログラムだしね」
「そうね、あなたがこの生涯幸福プログラムを書かなくても天然の遺伝子のプログラムによって人類は他の生きもののためにアポトーシスさせられていたかも知れないわね」
「うん、遺伝子は多様性を求めている、人間一種だけの地球を遺伝子は望んではいない」
「あなたに神の声が聞えたということなのね」
「そう、遺伝子は神だよ」