「ついに地球人は究極の生甲斐人生を求めはじめた」
「それは幸福なことなのかしら」
「究極の幸福感を味わえるよ」
「地球の完全管理社会のプログラムが第三段階に入るのね」
「そうだよ第四段階は無い。この第三段階のプログラムこそが人類が幸福人生を追い求め辿り着いた終着点だ」
「第一段階で遺伝子の個性を元に他の他生物を含む個とゆるい妥協で共生できる争いの無いベストな幸福人生をおくれるようになり、第二段階で困難に立ち向かって新しい道を切り開き成功するという達成感人生を実現可能にした。これ以上の幸福が得られるという事なのね、ちょっと考えられないけど… 達成感人生より上級の幸福といっても…」
「究極の幸福感を味わえるよ」
「まさか、アポトーシス!?」
「そういうことだ」
「…」
「第二段階で困難に立ち向かわせるというプログラムを書いたが、困難から抜け出そうとしている時、周りの人間や他生物が自分以上に困難に遭遇していると感じた時、自分は死んでも愛する家族や友人を救おうとする心が生じていた。人は自分のためだけに頑張るという事には全力を尽さないという事が判明し、他の個体を守ろうとする時に全力を尽くすというデータが得られたんだ」
「無償の愛、アガペーね」
「そう、それが発揮出来た時に人間は最高の幸福感に浸れるという事が判ったのだ」
「アポトーシス。自己犠牲ね。胎児が手を精製する時、指の間の細胞が自殺して指を分離させて手を完成させる。免疫細胞がウイルスや癌細胞を取り込み自殺するという事で他の細胞を生かす。無償の愛、自己犠牲の愛アポトーシスは実際には当たり前の事で生体内はもちろん個体レベルでも溢れている行為だわね…」
「そう、気付いてくれたね。他を生かす自殺こそが人生の究極の幸福なんだよ」
「決めたのね」
「決めた。他の生物を守り生かすために人類全てを感動的ストーリーで自殺に追い込むプログラムを書いた。後はこのボタンで発動させるだけだ」
「嬉しいわ。最高の幸福感に包まれるのね」
「素晴らしいことになる… ポチッとな」