ss1318 切捨て
「生きものは一番大事な部分を守ろうとする」
「そうね、寒くなると人間の場合手足をまず切り捨てようとするわよね、血の巡りを制御して一番大切な胴体を守ろうとするのよね」
「そう、コアである胴体は損傷したらおしまいだからね」
「一番体温を奪う部分は首なんですってね」
「そう、つまりその上に付いている脳も胴体より下位の器官なのよ、切捨ての対象となっているわ」
「でも脳が無くなったら人間じゃなくなっちゃうじゃない?」
「生きものとして生き残れば良いのよ、脳なんて所詮神経の固まりなだけよ巨大な恐竜なんかには胴体に単純な中継脳が有ったわ、その程度で良いのよ、生き残るためにはね、すぐにその程度の脳なら作れるわ」
「エネルギーを消化吸収出来る臓器や血を巡らす臓器のほうが優先という事なのね」
「そういう事よ、それで地球人が選ばれたのよ」
「そういう事だったの…」
「宇宙の終わりが近付き、次のビックバン後に広がる宇宙に命を託すには、優秀な脳力の宇宙人たちよりも体力のある地球人が選ばれたのよ、名誉な事よ」
「ええ」