「腎臓や肝臓はその三分の二が失われても機能する」
「さすがに体の老廃物を処理する機関は余裕があるのね」
「そうだよ、だから腎臓を一個取って他の人に移植してもだいじょうぶだし、肝臓も大きく切り取って他の人に移植できるんだ」
「でもよく移植の腎臓が足りないとか聞くわよ、最近は免疫の拒絶反応もうまい方法でクリアできているって聞いてるけど?」
「まだまだ脳死からの移植は定着してないし、闇売買の問題もあるし、積極的に生体から提供するなんて人は少ないんだ。そこでわたしは腎臓人間を開発した」
「アンドロイド?」
「腎臓人間だ」
「…」
「腎臓を何回採ってもまたすぐに再生する腎臓人間を作った。最近の再生医療の技術を生体内で実現したんだよ、まだまだ培養皿の上で器官にまで成長させる事は難しかったが、生体内なら可能なんだよ」
「なるほど、考えたわね」
「採らずに増やしたままにする事も出来る」
「意味ないでしょ、腎臓は三分の二が失われても機能するんでしょ?」
「災害に遭った時とかに絶大な威力を発揮するんだ。72時間の壁を突破出来る。つまり瓦礫に閉じ込められても三日以上水無しで生きられるんだ」
「すごいわ、それなら宇宙旅行もだいじょうぶね」
「うん、実はこないだ捕まえて解剖した宇宙人からヒントを貰ったんだよ」
「宇宙人はみんな腎臓人間なのね」
「うん、まあ一応人造な訳だから」
「人造人間、アンドロイドだったのね。」