ss1291 進化の真価
「究極の構造だな、ティラノザウルスは…」
「そうですね、複雑な空洞のある軽くて丈夫な骨、デザインし尽くされた美しいフォルムと機能…、本当に究極の生物です」
「残念だがあまりにも完成された肉体であったために急激な環境の変化に対応出来ずに絶滅してしまった」
「人間もこのまま進化を続けてゆけばティラノザウルスのような運命が待ち受けていますよ」
「そうなんだよな、恐竜が絶滅した時に哺乳類はプロトタイプ的な肉体を維持していた。どんな形にも進化できるようにな、それまで恐竜の天下だったから進化を止められていた」
「でももう様々な特有の形に進化してしまいましたよ哺乳類は、人間も含めてね、ここでまた隕石が来たらおしまいです」
「そこでだ、哺乳類のプロトタイプに戻るのではなく、どんなものにもなる体を目指して全人類を進化させようと思うんだ」
「それでこのゼリーの様なものに教授はなってみたのですね」
「うむ、今は人型の器の中に入って人間を演じておるが、猫や犬の型に入れば猫や犬を演じる事も出来るのだ」
「素晴らしいです教授。これでどんな環境の変化にも人類は耐えられますね、あれ、教授どこいったんです?」
「はあ〜い、ジェシカって呼んで」
「…」
「ナイスバディーな人型に入ってみたの、素適だわ」
「…」
「どう?」
「くねくねしないでください」
「ゼリーになったんだからしょうがないじぁなぁ〜い」
「…」