「虫けらの命か…」
「命にも重みが色々違うという事を言っているのよね」
「鹿やカモシカや猿が増えすぎたら殺して数を減らしても良いとか、虎や熊など乱暴な動物は希少でも殺しても良いとかあるわよね」
「発展途上国の子供達の命の重さはアングロサクソンの白人の子供の千分の一の価値であるとか、流産させる子供の命の価値は? とか、人間の命の重みも虫けらの命に等しいものから殺されたら世界大戦が始まる程の高級な命まであるわ」
「それから命を食べるっていう設定で…」
「そうよね、神様も酷な設定をするわよね、生きものはみんな他の生きものを殺して食べないと命を繋げないという設定だわ」
「肉製造工場なんて最新の技術でオートメーション化して凄いわよね、鳥さんにしても豚さんにしても牛さんにしても狭いスペースに効率よく配置させられ、エサの内容から運動のさせられ方まで細かく画一的に設定されてて全く自由がないわ、殺されかたも薬剤を使った安楽死じゃなくて肉質を守るために酷い殺されかたよね」
「しかも肉になるために遺伝子の段階で選別され生まれて来ているのよね、原種なんてもう一匹も居ないわ」
「そろそろ命の選択じゃなくて洗濯しなきゃだわね」
「人間の都合とかじゃなくてね」
「そもそも神様が設定した他の命を奪わなければ生きていけないというのが最大の原因だわ」
「そうよね、それさえなければ生きものどうし争わなくて良いし、人間の貧富の差なんて意味も無くなるわ」
「バクテリアなんて周囲の物質を取り入れて分裂して永遠に生きているわよ」
「…、生きものだけど、そんなの生きものじゃないわ、食べ物をめぐる争いがあって進化したのが生きものよ」
「矛盾する意見ね、でも確かにそうだわ、でも止めないといけないのよ、こんな修羅場!」
「あんぱんまん助けて!」
「そうよ、それよ! って、シンナー吸うなよ…。再生医療が発達してるじゃない!!!!!」
「再生医療!!!!!」
「きゃっ熊だわ!」
「頭を半分食べさせてあげなさい。後で再生してあげるから」
「うん」
こうして地球は誰一人、誰一匹他の命の犠牲になる事無く、平和に楽しく暮らしてゆけるようになりました。おしまい。