ss1270 有袋類
「ゆうたい類? 幽体離脱するのか?」
「ばか、コアラとかカンガルーとか、絶滅したフクロオオカミとかの事よ」
「あ、ああ」
「最近有袋類の生殖の仕方が見直されて来て、優待されるようになって来たのよ」
「ふ〜ん、ぼくら普通の哺乳類の有胎盤類に負けて勇退したのかと思って居たのに」
「自転車で幼い子供を前後に乗せて細い体で逞しく歩道をすり抜けてゆく若いお母さんってよく街で見かけるでしょ? 彼女達の安全を守るために人類は有袋類の遺伝子を取り入れる決定をしたのよ」
「ほ、ほほう」
「ほら、さっそく来たわよ」
「お、おおう、な、なんとお腹だけじゃなくて背中にも袋が付いている…?」
「そうよ、なんとか確認出来た様ね、凄いスピードだったでしょ」
「うん、おお…、コーナリングも素晴らしい」
「あ、またもう一家族来たわよ、今度は信号で止まるみたい。子供の顔もじっくり見れるわよ」
「あ、さっきのお母さんもそうだったけど、競輪のあの前後に妙に長いヘルメットしている。…、…、子供たち袋で守られているからヘルメットしてないけど、若干前後に長い頭してるなぁ、あ、お母さんがヘルメット取る。うああっ!!!! これわっ!!!!」
「自転車で走り易い様に、エイリアンの遺伝子も組み込んだのよ。」