ss1256 ゆらぎ

無が〝有った〟
無に微妙なゆらぎが生じた。
ゆらぎは徐々にエネルギーを蓄え、プライミーバルアトムを創り上げた。
ゆらぎのかたまり、無の有のプライミーバルアトムは臨界を超え、ビックバンした。
泡状に複数の宇宙が誕生した。
それぞれの宇宙は膨張を続け、ゆらぎ続け、星を生み、物質を生んだ。
そしていつしか物質のゆらぎ、鼓動を模擬した生物というものが誕生した。
空気の動き、水の動き、粒子の動き・法則は生物の動きと変わらない。
コンピューター内で再現させる、プログラムによるゆらぎも、自然や生物の動きと変わらない。
無が〝有った〟からだ。
無が〝無かった〟ら宇宙も生物も居ない。
ゆらぎも起きない。
なぜ無が〝有った〟のだろう。
無から始まった有は、もはやゆらぎを止める事はないのだろうか…?
「はかせ、それなあに?」
「なにもかも嫌になった。〝無〟の〝有〟も消したくなったんだよ」
「だからそれなあに?」
「〝反ゆらぎ〟というものさ、これでゆらぎを確実に全て打ち消す事が出来るんだ。どんなゆらぎも逃げられない」
「よくわかんないよ」
「無が〝無〟になる時が来たんだよ。無が〝無〟になったらもうなにも起こらなければなにも生まれなくなる」
「む~。」