ss1252 みな死ねハッチ
「『みな死ねハッチ』だって、機関銃で蜂の巣にするってストーリーかな?」
「いやよそんな怖い映画、恋愛ものにしましょうよ『風邪と亀の詩』やってるわよ」
「やだよそんなあまったるいの、これ見ようよおもしろそうだよ、それに今はやりの3Dだよ」
「3Dなのね、うん怖い時だけ目をつぶっていればいいか、いいわよじゃ『みな死ねハッチ』これ見ましょう」

「いやん弾丸が飛んでくるぅ」
「これは…、目をつぶっても脳波に直接来るんだな、3Dメガネじゃなくてヘッドギアだし…」
「リアルすぎるぅ」
「きみよけるのうまいね」
「あんた下手ね」
「痛いよ」
「すごいわね、痛みまで感じさせてくれるのね、実際には血出てないのに」

「ぎゃ〜」
「ぐぇ〜」
「ぎょえぇ〜」

「他の観客次々に死んで行くよ」
「あんた弾丸よけるのあたしの次にうまいのね、生き残ってるのあたしたちだけだわ」
「ぐはっ」
「『ぐはっ』って、あたしだけになっちゃったわ、あ、映画終わる。あら、『ハッチ』がくやし涙流してる」

「はい、ヘッドギア」
「お客様、なんで!?」
「なんでって?」
「これは楽しみながら安楽死が出来るシステムなんですよ、どこから入り込んだんです。末期癌患者専用の映画なのに…」
「えっ! あたしの彼は!!!!」