ss1234 美
「遺伝子操作で現代の人類は自分達の意志で美しい容姿を手に入れられるようになった」
「素晴らしい事だわ、全ての人類がその時代に合った美男美女に『変身』する事が出来る様になったのね」
「そう、成長してからでも何度でも容姿を変える事が出来る様になったわ、皺や白髪も操作対象で年齢も誤魔化せる。」
「さすがに身長や手足の長さ体格や頭の大きさは操作対象じゃないけど、表面の美しさでなんとでもなるものなのよね」
「そうね、体格に合わせたかわいらしさというのも有るし、故意に部分的に変化させてぶさかわいいアイドルとかにする事だって簡単だわ」
「ぷち整形が流行していた時代もあったけど、小学生までもがぷち整形をやって、しかも感染症になったり失敗したりで社会問題になった凄い怖い時代もあったけど、今は無理の無い自分の遺伝子範囲内での『変身』だから問題ないわ」
「でも、最近それを逸脱して究極の美を求める『変人』たちが出てきたわね」
「…、そうね『変人』たちだわ」
「彼女らは、美は自然の中に有るとか言ってるわ。まあ一理有るけれど…」
「青あざを作る遺伝子を利用して、サロメの挿絵からそのまま出て来た様な唐草模様を肌に描いた人とか、ガウデイの建築みたいに貝殻のレリーフを肌全体に、イボを作る遺伝子で深く刻んだりする人も出て来たわ」
「なんか形的な美はあるけど、そういう人とずっと居ると疲れるわよ」
「ほんとよ、なんか異星人と居るような感じよ、言動まで自分の肌に影響されてか意味不明な事を言うし、突然奇声を上げるし、もう!」

「最近、あの芸術家たち見かけないわね、よかったわ」
《きききき》
「なに言っているのよ、あなたが手をかけている木に同化するように立って居るじゃない」
「きゃっごめんなさい! 気付きませんでした!!」
《くきくき》
「あなたずっとそこに居たのですか?」
《きききき》
「…」
「…」