ss1232 プライバシー
「プライバシーの侵害にならない?」
「そうだな、まさか地球上全ての人間、68億人の遺伝子ゲノムが解析出来てしまう時代が来るとはな…」
「ゲノム解析マシーンの開発競争が激化して、高性能で安価なゲノム解析マシーンが出来てしまったからね、病院の健康診断は勿論、保健所や学校や会社での健康診断も全てゲノム解析マシーンによる健康診断に切り替わってしまったわ、眼底検査も胃カメラもレントゲンも血液検査もみ〜んな無くなったわ、健康診断の回数も減った」
「そうだよな、一生のうちに環境や精神活動によって遺伝子が変化する事は確認されているけど、そうそう遺伝子は別のものに変わるわけ無いから基本出生の時と成人してからの2回の遺伝子ゲノム健康診断だけでどんな病気になるかとか寿命はどのくらいかとか全ての事が判明してしまうようになった」
「恥ずかしいわ」
「そうだよな、きみのおっぱいやおしりの形までゲノムを見るだけで判る。」
「ばか」
「ほら、3Dで簡単に投影映像もゲノム情報を入れるだけで見れるよ、おお… ポーズも変えられる」
「やめてったら」
「あ、きみ7年後に乳癌で死ぬんだ」
「…」
「でももちろん治療できるよ、遺伝子が判ってるんだもの、寿命は…」
「もうやめて!」
「えっ」
「あら凄い偶然」
「まさか68億人の遺伝子ゲノムの中で最適の結婚の組合せがきみとは」
「でも絶対あんたなんかと結婚しないわよ、あたしの事をすみからすみまでほくろの場所まで知り尽くしているような変態とは一緒に居られないわ」
「きみこそそのアイドルグループの遺伝子ゲノム情報チップ、持ち出し禁止だからね」
「ちっ」