「赤い靴ね」
「ああ、赤い靴だ」
「これ履くと自動で歩けるのよね、右足左足、右足左足…」
「うん、楽だけどぼくらに進む方向の決定権は無い。足に体が引き摺られない様に直立誘導帽子とセットになっている」
「でも、手だけは自由なのね」
「うむ、人によって作業がちょっとずつ違うからね、手の動かし方でその人の価値が決まる」
「他の国に負けない様に、国内で犯罪が無くなる様にって作ったシステムだけど、管理のし過ぎじゃない?」
「しっ、聞えるよ、直立誘導帽子には盗聴器と監視カメラが内臓されているんだ」
「完全管理社会ね、でもトイレとバスと睡眠とそしてセックスの時は赤い靴と直立誘導帽子を外せるのよね?」
「いや。」
「いや〜ん」
「直立誘導帽子が脳波をキャッチしてうんちなどの生理現象に対処し赤い靴に命令をするんだ。トイレと称して作業をさぼらない様にね」
「徹底しているわね、あらあの男の子… いや〜ん。。。ベッドルームに行ったわよん」
「そう、いけ面で足が長くてきらきら歯が光ってる彼は種牛くんに選ばれているんだ。うらやましい限りだよ」
「あらあら、一緒に入ってゆく女の子たちは美人とは限らないのね、美人も居るけど」
「ほんとだ、あ、そうだ聞いた事ある、遺伝子的に優れた女性だけが生殖を許されているそうなんだ」
「なるほどね、あらあら、遺伝子操作された女戦士、それに戦闘民族の火星人の娘も…」
「まあ、かわいい。子供達の遠足かしら?」
「違うよ、あの子らは外貨を稼ぐ為に国から人材派遣会社に委託された子たちだよ、病気一つ無い良い子たちだ」
「こんな小さな時から働かされるの? しかも海外で」
「違うよ、人身売買だよ」
「えっ? 海外の子供が欲しい金持ちの人に貰われていくの?」
「違うよ、人身バイバイだよ」
「バイバイ? さよなら?」
「うん、臓器を人材として派遣するんだよ、移植の他に食べる民族とかにもね」
「…」