ss1217 レプリカ
「凄いわ、見て。このショーウインドウのマネキン。。。」
「まあ動くじゃない。よく出来てるわね」
「照明も凝ってて時間で色々切り替わるわね、音楽まで街に溶け込む程度の音量で流れているわ」
「あら、ショーウインドウの端の方に行って… まあ! 衣装変えして出て来たわ」
「まるで小さなファッションショーね、街のビルの一角のショーウインドウでよくこれだけやるものね」
「あたしたちを模擬した最新の模造品なのね、このマネキン。本当にあたしたちのように動くじゃない」
「あんまりジロジロ見たらかわいそうじゃない」
「あはは、あたしたちの単なるレプリカよ、心なんて無いわよ。でもこれだけ精巧に作られているとそういう気持ちにもなるわね」
『ガチャ〜ン』
「あっ!!!! マネキンがガラスを割って脱走したわ」
「うわっ! 力も走るスピードも凄いわ」

《臨時ニュースをお伝え致します。ショーウインドウから逃げ出したマネキンが宇宙船を奪い隣の星の地球に行きました》

「まあ、このあいだのマネキン、あんな原始の星なんかに逃げてどうするのかしら」
「地球の生物というものは自己増殖とかするようよ、逃げ出したマネキンには模造取得機能が付いているからそういう自己増殖機能とかを取り入れて、生物として地球で暮らすんじゃないかしら?」

 こうして地球に他の生物とはかけ離れた能力を持つ『人間』という生物が誕生した。