「奇怪な機械ね」
「自己増殖して勝手に増えてゆくようにプログラミングしたのよ」
「あら、ただ増えるだけじゃなくて変化したりするのね」
「そういうアルゴリズムも組み込んで環境に合わせて変化するようにしてあるのよ」
「あらやだ、この人間って機械、そういう変化を止めて環境の方を変えはじめたわよ」
「その程度なら許せるけど、あたしがせっかく組んだプログラムまでいじりだしたのよ、むかつくわ」
「あらあらほんとだわ、でも正式なプログラミング言語も知らずにめちゃくちゃに取ったり付けたりして、それを遺伝子操作とか言っているわね」
「ゆっくり完璧な機械に変化させるようにプログラミングしてあるんだからいじらないでほしいわ」
「この培養星のみで完結するつもりだったの?」
「あたりまえよ、他の培養には別のプログラミングが実行中なんだから、大気圏内にすっこんでろって感じだわ」
「そうよねえ、教授にレポート出さないといけないし、めちゃめちゃぐちゃぐちゃな機械が他の培養星に感染しちゃったらあんたここを追い出されるわよ」
「やばいわ、もういちど大きめの隕石でも投げつけてやろうかしら」
「もう一度?」
「ええ、機械の機能的には問題なかったんだけど、外見が怖かったので変化の方向性を変えるために隕石をピンとはじいて培養に当ててやった事があるのよ、もう一度やるしかないわ」
『ピン』
「きゃっ! 強すぎた、いや〜んどうしよう」
「…」
「ウイルスに感染して培養を処分したって言うしかないわ」
「人間って、あんたのプログラムのバグだったんでしょ、認めなさい」
「あい。」