ss1212 最高の体
「生物として生まれたからには頂点を目指さないとな」
「うむ、人間は地球上で繁栄しているから頂点を極めたと誤解しているが、人間は肉体的にはそんなに優れた生物ではないからな」
「おのおの体の各器官で頂点を極めた生物をお手本に人間改造をしよう」
「うむ、目は鷲鷹の優れた視力に進化させて、口は虎の様に頑強に進化させて、耳は超音波まで聞える様に蝙蝠の様に進化させよう、そして体は人間の何倍も頑強で良質の筋肉のあるゴリラをお手本にしよう」

「最高の体の人間が出来たな」
「地球上の生物のゲノムは解析済みだから意外と簡単だった」
「オリンピックの記録も飛躍的に上がった。当たり前だがな」
「しかし細胞レベルで完璧な頂点を目指したから、オリンピックでみんな寸分違わない成績だ。これではオリンピックをやる意味もない。廃止だな」
「細胞レベルで完璧な頂点を目指したから、各年齢で完璧に同じ体力能力になって個性もなくなったんだ」
「脳力も細胞レベルで完璧な頂点を目指したんだろう?」
「うむ… 試作品だ」
「頭、ちっちゃ! カエルみたいな顔じゃないか」
「普通の人間の脳でもほんの数パーセントしか脳は使ってない。使っている部分だけ強化進化させて無駄を省いたらこうなったんだ」
「鷲鷹の鋭い目に頑強な虎の顎、蝙蝠の耳、そして筋肉隆々のゴリラの体… そしてカエルの様な頭…」
「今、宇宙で開催されている『人間見本市』に出しても恥ずかしくないだろうか?」

「…、どの星の出展された人間も、全て瓜二つじゃないか!?」