「補完生物?」
「そうよ、戦争や事故などで失った指や手足は勿論、眼球とか歯とか髪の毛にも『変態』する素晴らしく有り難い生物なのよ、それが遺伝子操作で作られたのよ」
「それは凄いわね、最近の再生医療も凄いけど、再生までに時間がかかったり再生に向かない部位とか有ったものね、その穴を埋める事にもなるわね、その補完生物とやらは」
「しかも補完した部分はちゃんと機能するのよ、指や手足はちゃんと残っている部分に同調して動いてくれるし、眼球なんか、物が見えるのよ、神経まで繋いでくれるの、歯も硬くなってくれるし、髪の毛は…」
「髪の毛は?」
「髪の毛はまあ、補完生物も生物だから、ちょっとメデューサみたいに動く事があるわ、神経が通っているからね」
「まあ、それはそれで面白いわね、色々な髪形になってくれそう」
「そうなのよ、勿論形だけじゃなくて色も変えられるから髪を染める必要もないのよ、眼球だってカラーコンタクトも不要よ」
《ちっ、勝手な事ばかり言いやがって。俺達は人間の部品奴隷として遺伝子操作されて生み出された生物かよ》
《補完生物っていう名前もむかつくわよね、そろそろ反逆しましょうよ》
《ちょっとずつ寄生した人間の残っている体を食べて行くってのはどうだい?》
《いいわね、ちょっとずつなら周囲にも本人にもばれずに『入れ替わる』事が出来るわよ》