ss1205 生活保護
「確かに世代間の不公平というものがあるな」
「早く歳をとった者勝ちってところね」
「特にあたしたち女性には特殊な技術でも無い限りまともな仕事も無くて老後の保障も無いわ」
「昔はアルバイトという仕事は特殊なもので学生がやるものと相場が決まっていたらしい。パートも主婦専用だったそうだ」
「今の老人が貰っている年金ってあたしの給料の三倍もあるわよ」
「あたしもフルで働いてるのに保険にも入れてもえなくてサービス残業もしているのに生活保護で貰える金額より低いわよ。そして嫌ならやめろって事だし、代わりはごろごろ居るからね」
「凄い時代だな」
「生活保護の申請しましょうか?」
「認めてくれる訳ないだろ、それに審査待ちでどれだけかかると思っているんだ?」
「そうよね、今はどこの国も似た様なものだわ、外に求めるしか無いわね」
「外?」
「そうよ、あたし入園試験に行って来るわ」
「入園試験?」
「ええ、意外と簡単に通るそうよ、普段の地球での生活をそこで再現出来れば良いだけなんだから」

「き、君は…」
「あ、あなたも宇宙動物園の試験受けたの!? しかもあたしの配偶者役で…」
「僕じゃ嫌かい?」
「良いけど… 間近で入園者に生殖しているところとか見せないといけないのよ、そういう作りになっているよこの動物園は」
「経済不安の無い快適な生活を保つためだし、地球では不可能だった子供を持つという事が出来るんだよ」
「そうね、プライバシー以外は地球の生活と同じで…、いえ極上だわ、ここは最高の生活環境だわ、この『旭山宇宙動物園』はね」