「太陽風と云うより、これは波ですね」
「うむ。宇宙を宇宙船で旅する時、色々な恒星、色々な太陽からそういう波の影響を受ける」
「我々の宇宙船はその波を利用して航行している訳ですが、時々予期せぬ強い波に曝される事があります」
「津波や嵐だな」
「いくら綿密に黒点を観測してても予期せぬ爆発が起り津波がやって来ます」
「なんとか太陽たちを制御する方法はないものかな?」
「太陽たちを制御するというのは… 相手が巨大過ぎます。今、新型の宇宙船で採用が検討されている小型の恒星を宇宙船に取り込んで航行エネルギーにするというのが妥当なところでしょう」
「太陽を宇宙船に取り込むだって? そんな事が出来るのか?」
「地球の海洋時代にも原子力空母というのがありましたでしょう? それの強力版です。小型の恒星や太陽にぎりぎりなれなかった木星クラスの星が対象です。時間をかけて凝縮する技術が整って来たらしいですよ」
「そうか、それは凄いな」
「恒星原子力宇宙船、続々と完成、航行して行きますね」
「ああ、しかし、なにか色々問題も起こっているらしい。恒星原子力宇宙船が突如消えてしまうとか…」
「消えるって? そんなばかな、地球の海洋時代の沈没や幽霊船じゃあるまいし…」
「あっ、なんだ! 前を行く宇宙船が光りだしたぞ、こ、これは!! 太陽の終わりの時の爆発と同じ光りかただ! 逃げろ!!」
「艦長だめです! 我々の恒星原子力宇宙船はもっとひどい事になっているようです」
「なにっ!? どういう事だ?」
「前方を行っていた宇宙船の動力よりも、我々の積んでいる動力は更に恒星凝縮を最高レベルでやっていたようです!」
「我々の恒星原子力宇宙船はブラックホールになってしまうという事か!!!!」
「やばいです! この距離だと母星の地球も吸い込んでしまいます!!!!」