「あの医者、かわいい娘が診察に来ると入念に触診するわよね」
「かわいい娘が多い日は、物凄く待たされるわ、なんとかならないかしら」
「そうよね、あたしらみたいのばかりだと午前中に診察終わっちゃうのにどういう事よ」
「ちょっとばかにしないでよって、抗議して来てやるわ」
「やめなさいよ、診察してもらえなくなるわよ」
「もう我慢出来ないのよ」
「言って来た?」
「んんん、つるのおんがえしみたいにそっと見ていたのよ」
「で?」
「…」
「で?」
「医者の方が逆に触診されていたわ」
「え!?」
「というか、注射器のようなものから… 注入されていたわよ」
「え?」
「その管は肌色で透明じゃなかったけど、管を通る時の形が卵のように見えたわ」
「えええ!?」
「あの医者、たぶん喰い尽されて、中から子供が出て来て死ぬのよ」
「はい、次の方どうぞ」
「は〜い」
「行くの?」
「あいつの最後を見とどけてやるのよ」
「あなた、さっきわたしたちの秘密を見てしまいましたね」
「そ、それは…」
「いいんですよ、ここは産婦人科です。合意の上で宇宙人にわたしのほうから頼んだのです。わたしは男です。わたしもどうしても、どうしても子供を産む感動を味わいたくて…」
「… お察し致します」