ss1100 ぼくらの秘密基地
「ぼくの秘密基地を教えてあげるよ」
「え、いいのかい? こんな巨大都市での秘密基地と言ったらビルの空き部屋だろう? みつかったら大変な事になるよ」
「大丈夫さ、ほら、ここだよ、この100階建のビルの一室をこっそりぼくの秘密基地にしているんだ。郵便物専用のエレベーターから乗り込むんだ。エレベーターの中から改造したリモコンで制御して秘密基地に乗り込むんだよ」
「なるほど考えたね、どこにでもある最低の階数の100階建のビルだね、100階程度のビルの郵便物専用のエレベーターにしては大きいね、ぼくら子供が二人も乗れる大きさだね、大人だって一人なら丸まれば余裕で乗れる」
「ここだよ、ほらすごいだろう」
「すごいね、よくいろいろ持ち込んだねテレビもゲーム機も冷蔵庫もあるね」
「うん、電気も通じるようにうまくプログラミングして拝借しているんだ」
「ここはこのビルの最上階の100階だろ、いくら古いビルだからって借りたら相当の家賃だね」
「うん、でも誰も住んでないよ」
「でもかすかに音がするし窓から横を見ると何部屋か明かりが漏れているよ」
「ぼくらとおなじさ、秘密基地にして乗り込んでいるんだよ」
「しかしビルだらけだな、200階300階のビルが主で連立している。いったいこの狭いエリアの小都市だけで何億人すめるんだ?」
『ニュースの時間です。総務省は人口の把握を諦めたと発表しました…』
「え?」
「高いビルを作る競争ばかりにかまけて、作ったことをも忘れて、他国から労働者として入れた人や難民とかの制御もできなくなって、自分の国の人口までわからなくなったって事でしょ」
「ぼくらの秘密基地… 多いなあ」