「人間も健康に120歳まで生きさせようとすると、歯を総入れ歯にするのはもちろん、人工心肺やら骨の補強やらで色々合成樹脂とか色々な金属とかを複雑に体内に入れないといけない」
「そうですね、そういう処置を施せば健康に立って歩いて普通の生活を送りながら120歳の平均脳寿命をまっとう出来ます」
「ただ問題なのは、捨てる時だ」
「え?」
「分別ゴミ出しにうるさい時代じゃないか、使える電子部品は一緒に焼いてはいけないとか、骨に密着させた合成樹脂は丁寧に剥がして製造元に戻すとか、金属の種類ごと、合成樹脂の種類ごとに細かく分けろとか、大変な法律が出来てしまっている」
「…、医者とか専門家でも呼ばない限り不可能じゃないですか」
「そうだよ、しかし医者や専門業者が不足しているし、費用もかかる」
「困りましたね」
「うむ、どうしたもんだろう」
「そういえば強力に生体のみを分解するバクテリアが遺伝子操作で作れたってニュースでやってましたよね」
「そうだな、海に流れた石油だけを食べるバクテリアが作れたんだからそんなのも作れるんだろう、それに頼るしかないな」
「やばいですね」
「やばい。亡くなった人だけじゃなく生きている生体にも作用するとは…」
「人類終わりましたね」
「ああ」